貼雑歩録 Ver.2.0

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阿部和重『映画覚書Vol.1』(文藝春秋
 昨日に引き続きサブカル度高めの読書。で、あるにも関わらずいまいちノレなくなっている。菊地成孔阿部和重が悪いと言うよりは、なんかこの手の物を読んでもうわーって夢中にならなくなってきちゃってるだけなんだろうと思う。今、映画に夢中の人はこれ読んでうわーって夢中になれるんじゃないか、と。要するに自分の映画熱の冷め具合を確かめる結果に。2、3年前に読んでいたらもっと興奮しただろうに、このモチベーションの低下はなんなのかしら。ダルいなー。
 でも、特殊効果やCGの多用による映像の暴走の話は納得。最初にそういったド派手な映像ありきで、そういう映像に向いた原作なり、題材なり、を探す様になってきている。結果的にコミックやアニメの実写化など空想性の高い原作の実写映画化を押し進めることに。指環もアーサー王も典型なんだろうな。あんまりこういう事をやり過ぎるとオリジナル・ストーリーを生み出す力が無くなってしまって、こうした物語性の工夫の放棄は、当然ながら表現と企画面での画一化を避け難くしてしまうのではないか、と。本当は9・11の話とも絡めて話されているんだけど、この辺の話は凄く面白かった。
 さてさて、映画熱が冷めてきているとは言いながらもついついだらだら書いてしまうけれど、本書には中原昌也阿部和重の対談が収録されている。そこでは色んなハリウッドの作品を面白がっていて、ふ~ん、そんなもんかねー、とこちらはだらだら読んでいるんだけど次の一節が凄く気になった。

中原:ムルナウの『サンライズ』は大好きなんです。素晴らしい。

 

 

阿部:単なる夫婦の危機を描いた映画ですが、すごく怖いですね。ほんとに素晴らしい。

 

 

中原:『サンライズ』を見ちゃうと、やっぱり今の映画はだめですね。

 

 

阿部:それはそうですよ(笑)。

 結局結論としてはこれかなぁ、と。どんなに新しめのハリウッドの作品を面白がってみても『サンライズ』を見ちゃうとやっぱり今の映画はだめ、そんな思いが自分にもあるから読んでてダルかったんだろうなぁ、とも思う今日この頃。 

映画覚書 Vol.1