- 五十嵐大介『はなしっぱなし 下』(河出書房新社)
- ザアザアと言う雨音は雨自体の音じゃなくて、雨がはっぱや石にぶつかってたてている音で、一瞬に幾億、幾兆の音がなり、それが絶え間なく連続していく無限の音の交響楽、そんな風に雨の音を認識できる感性はとても良いな、と思う。下に引用する後書きからも人柄が伺い知れて好感。
「風景」には 風があります
風は動きつづけ 一瞬さえ 止まることをしません
好きな場所の
好きな光
好きな時間
もういちど味わおうと
狙って行っても 同じ風景は 二度となくて
そのかわりに
また別の おもいがけない出会いがある
自分だけで楽しむのは もったいないので
なんとか いっしょに
そう思った試行錯誤が
こんな形になりました
興味を持ったら
どこでもいいです
気になる場所で10分間
じっとしていてみて下さい
必ず何かが起こります
2004年春 五十嵐大介