貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

クロード・シモン『路面電車』(白水社)
堀江敏幸推薦のクロード・シモン。想像以上に手強かった。一読して、何がなんだかわからない。頭の中が???になった所で再び帯を見てみると「宙づりにされた描写が私たちの視線を心地良く惑わす」と書いてあって、初めて納得。ページにして2~3ページ前後の短いシーン毎に書かれているのだけど、前後のシーンは何の脈絡もなく飛んでいたりする、という仕組み。ぼーっとして読み飛ばしてしまったのではなく、全く違う場面に飛んでいたのだった。で、それの連続なのでストーリーの様な者はモザイク状。ノーベル文学賞を受賞したにも関わらず、難解とされ、全く売れない理由がそこにある。が、この全く異質な読書体験は読みづらい、つまらない、で切り捨てるのはもったいない気がしていて、とにかくもう一度じっくり再読してみるつもり。解説でクロード・シモンの本は早く読むことができない本、って言われていたのだけど、ホント納得。

 

路面電車