貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

フランソワ・トリュフォー『隣の女』
最近1人トリュフォー祭りの様相を呈してきているなぁ。ファニー・アルダンは美人じゃないのに不思議な魅力がある。なんだか好きになってしまった。窓からむこうが見えていて、そのままカメラをひくと女が窓を見ている事がわかる、みたいなカメラの動きはなんかわくわくする。一番最初にパトカーが走っているシーンが不穏な結末を予兆していたり、なかなか手が込んでいて面白かった。『終電車』はナチス占領下のパリのちょっと固いお話ということもあり、全体的な映像のトーンがほの暗い感じだったのだけど、トリュフォーはどちらかというとぼんやりと明るめのトーンの方が似合う気がする。インタビューでも言っていたけど、「中間色」でまとめたようなトーン。今思うと『終電車』でのほの暗い照明の中でカトリーヌ・ドヌーヴの真っ赤な唇が際立つような映像は綺麗と言えば綺麗なんだけど、なんだかトリュフォーのイメージとは違うような気もして。
フランソワ・トリュフォーピアニストを撃て
蓮實重彦山田宏一の対談で、昔の映画はバーとかに入ると誰かが歌ってるシーンとかが始まって、それがストーリー上まったく重要でも何でもないのに、妙に歌手がアップになったりする、なんて話をしていたのだけど、この映画にもまさにそんなシーンがあり、ニヤケてしまった。ピアニスト役のシャルル・アズナブールのなんとも情けない顔が良い味だしている。
マキノ雅弘『清水港に来た男』
いきなり富士山をバックにしたお茶畑で茶を摘む女達が唄い踊る中を大川橋蔵が間の手を入れながら歩くシーンで始まって、のっけからテンションの高い映像に呆然。「ちゃっきり、ちゃっきり、ちゃっきりな~♪」実に粋な映画だった。
ジョン・フォード『シャイアン』
西部劇の神様ジョン・フォード。馬って本当にかっこいいな、とホレボレしてしまう。ジョン・ウェインは出ていないけど、これはこれで美しかった。でもちょっと長くてだれた所もあり。
フェデリコ・フェリーニ魂のジュリエッタ
話としては夫の浮気を疑う中年女の葛藤、て事になるんだろうけれどそんな言葉ではこの映画は言い表わせない。まるで夢のようにデタラメで奔放な映像サーカス。すげぇ、と呟きながら口あけて見るしかない。だって本当に映像サーカスなんだもの。

 

隣の女〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選7〕 [DVD] ピアニストを撃て〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選5〕 [DVD] 魂のジュリエッタ [DVD]