2005-04-04 ■ 読 稲垣足穂『稲垣足穂コレクション2 ヰタ・マキニカリス』(ちくま文庫) 所々わけのわからない所もあるけれど、冒頭の「黄漠奇聞」なんてまるでダンセイニそのもの。出だしから一見して、ダンセイニとわかる文章なのが面白い。やはりタルホは相当ダンセイニ好きなんだなぁ。 赤い太陽が砂から昇って、砂の中へ赤く沈む。風が砂の小山を造っては、またそれを平らかにしてすぎ去る。来る日来る日の風は世界の果から運んできた多くのことをささやくが、それは人間には判らぬ言葉である。そこには死んだような寂寞が君臨している。バブルグンドの街はこんな所にあった。 「黄漠奇聞」より p.9