貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

レスリー・デンディ『自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝』(紀伊国屋書店
ふらっと寄った本屋で思わず吸い寄せられた1冊。これぞまさに本との出会い。タイトル通り、自分の体を使って実験した科学者たちのエピソード集。まさに自分の体で試したからこそわかるリアルな感想が面白い。なぜだかわからんけど、本人ものすごい真剣なのにそれを傍から見てるとちょっと滑稽だったりする感覚に近い楽しみが味わえます。例えば、消化の仕組みについて研究していたスパランツァーニさん。絶妙な硬さの残る翻訳文が味わいを増しています。

海綿を筒に詰めて飲み込もうにも、一度に二本までが限度なので、じゅうぶんな量の胃液を集められそうにない。そこで、自分の胃液を吐き出すことにする。飲み食いすると胃のなかが汚れると思い、朝起きて空腹のまま喉の奥深くに指を入れた。何度か試すうちに、かなりの量の塩辛い液体が吐きだせた。

(中略)

嘔吐は「不快な作業」だったとスパランツァーニは語っている。

 

「袋も骨も筒も飲みこんだ男」P33-P34

  

自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝