- 佐々木俊尚『電子書籍の衝撃』(ディスカバー21)
- 実にわかりやすく、現状と想定される未来を描いていた。これをバイブルにして、出版界を志す若者も出てくるんだろうな。いや、出てきて欲しい。そういう若者と力を合わせて、変えていきたい、というか実現していきたい。エポックメイキングな1冊だと思う。
- フローベール『ボヴァリー夫人』(岩波書店)
- 上巻。凡庸な男=シャルル・ボヴァリーの妻エンマが単調な日常に嫌気がさして不倫にどっぷりはまっていくお話。ちなみにエンマは2番目の妻。シャルルの最初の妻は憎たらしいブスで、エンマはシャルルが治療した患者の娘。最初の妻の憎たらしさと、出会ったばかりの頃のエンマの可憐さは読んでるこちらもすっかり心を奪われる。でもって、一番大好きなシーン。最初の妻の憎たらしさが積もり積もって、みんなこの女いなくなれば良いのにと思ったところであっさり死んでくれるのだ。
彼女は洗濯物を庭で干しているとき急に喀血した。
そしてそのあくる日、シャルルが窓掛けをしめようと向うをむいている間に、
「ああ、いけない!」とひとこといい、溜息をついて気絶した。
見るともう死んでいる! なんという驚き!
P26-P27
ん~、なんという驚き! それとやっぱり最大の見せ場は上巻ラストの村のイベント場面。エンマを口説こうとするロドルフとのやりとりが、イベントの進行の合間に入ってくる。これはもう、映画のような名描写。久しぶりに読んでみたけどやっぱり面白いなぁ。