貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

ルパン三世2ndTVシリーズ 21』
121~126話。125話「オイルダラーの大謀略」はちょっと気になる。病気で余命いくばくも無いお姫さまのために雪を降らせようと奔走するルパン、と言うお話。まぁ騙されているとは言え、ルパンが不二子以外の第3者、それもその第3者は弱者、という設定はこれまでのTV版のなかでは珍しい設定のはず。劇場版とか毎年必ずやっているTVスペシャル版みたいなものでルパンのそういった義賊的イメージが刷り込まれているけれど。大体これまでの話は不二子の超人的情報収集力でそそのかされたルパンが不二子のために盗む、みたいなパターンが多いので。
『華麗なるミュージカルの世界』
第3回「暗い時代の中で」を見る。ブロードウェイを直撃した不況の波はミュージカルを作る側にとって、悪い事ばかりでは無かった。それまでの時代なら作ろうとしても「そんなの受けない」とかお偉方に言われて揉み消されていたような作品でも上演できるようになった、即ち作者側にしてみれば自分の思い通りの作品を作って公開すると言う制作の自由を手に入れた、と言える。これはとても大切な事で、陽気で単純な面白さだけだった20年代の作品に比べ、30年代の作品は社会性や政治への風刺などを取り込み多様性を持つようになった、という訳。そんなこんなで30年代は一気に新しい才能が花開く。ガーシュインやコールポーター、ロジャース&ハート、といった具合に。また各々自分の作品にピッタリのスターを送りだしたとも言える。例えば富と才能を手にした優男、コール・ポーターの軽妙で暗い時代に夢を提供する様な作品にはフレッド・アステアがはまり役。ロジャース&ハートのちょっと下品だけどにくめない「パル・ジョーイ」と言う作品の主役としてジーン・ケリーが、ってな感じ。それとこの時代を代表する2人のエセルも忘れちゃいけない。白人女性歌手で大人気になった方がエセル・マーマン、ガーシュインの「I got rhythm」を歌って大ヒット。黒人女性歌手の方がエセル・ウォーターズ。南部での黒人リンチなど現実をショーに取り込んだ作品などで圧倒的な存在感を示して大人気に。あと、一番驚いたのはオーソン・ウェルズ演出のミュージカル「揺りかごは揺れる」の話。そもそもオーソン・ウェルズがミュージカルの演出をしている事を初めて知ったし、そのうえこの作品は余りにも伝説的なエピソードに彩られていて驚いた。元々国の福祉事業の一環として発注された作品だったのだけど社会的なメッセージ性の強い作品だった為に初演の前に当局によって劇場は封鎖。それで諦めるかと思いきや、ウェルズは当日客を別の劇場に案内し、役者達も客席に。舞台に上がる事は禁じられていたので、役者は「観客の自由なおしゃべり」として客席でたち上がり、歌い、縦横無尽に駆け回ったと言う。恐るべし、オーソン・ウェルズ