貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

フィリップ・プルマン『神秘の短剣 上』(新潮文庫
ライラは僕らの世界へ。大した事じゃないけど、キーツの言葉が出てきたり。卒論がキーツの友人の為に引用しておこう。それにしても良くこんなお話を思いつくなぁ、と感心してしまいます。わくわく、どきどき、幼児退行モード。

・・・事実と理由をあせって得ようとすることなく、不確かで、あいまいで、あやふやな状態でいられる。

フィリップ・プルマン『神秘の短剣 下』(新潮文庫
想像を絶するスケールのでかさになってしまった。宗教を悪として描くと言うか、神を殺すお話になってきた。神に反抗した天使ルシファーのように。というわけで、少しルシファーについて調べてみる。ルシファーは元々神に愛された天使で天使たちのなかでも最高位に位置していた。それほどの天使がなぜ神へ反旗を翻したかには「驕り」と「嫉妬」の2つの説があるらしい。「驕り」と言うのは、そのような高い地位から生じる驕りによって誰かに服従すると言う事を拒むようになった、という事。「嫉妬」説は神が人間を寵愛したために不満を抱き反旗を翻したと言う説。結局神への反乱は失敗に終わりルシファーは地獄へ送られる。いわゆる堕天使というやつ。地獄に堕ちたルシファーはサタンとして堕天使たちを率いる王になる。『創世記』のアダムとイヴのお話において、イヴをそそのかし禁断の実を食べさせた蛇はサタンが乗り移った蛇だ、なんて話も。そしてミルトンの『失楽園』ではそのルシファーが主人公として描かれている。で、このプルマンの作品はその『失楽園』から着想を得ているわけだ。物語の中には当然ルシファーにあたる登場人物もいればアダムもイヴも神もいる。新たな神への反逆は一体どういう結末を迎えるのだろう?

  

神秘の短剣〈上〉 ライラの冒険II (新潮文庫) 神秘の短剣〈下〉 ライラの冒険II (新潮文庫)