- ジャン・ジュネ『ブレストの乱暴者』(河出文庫)
- ジュネ程破天荒な作者もめずらしい。生後間もなく捨てられ養子となるが盗みを働き感化院に入れられる。間もなくそこも脱走。男娼、乞食、泥棒として数々の牢獄を経つつ放浪生活を送る。その後獄中で執筆活動を始めるが、10回目の有罪判決のときに終身刑を言い渡される。しかしコクトーやサルトル等の知識人がジュネの恩赦を求めて署名を集め、なんとフランス大統領の特赦を受けると言う前例のない事態に。その作品を一言で決定的に表すなら「普通作家は泥棒の世界を描く、ジュネは泥棒として世界を描く」という言葉が言い得て妙、か。男色と言うと汚らしいイメージが先行するがジュネの小説はどれも美しい。今回の文庫化は河出文庫の快挙。
- ウラジミール・ナボコフ『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』(講談社文芸文庫)
- セバスチャンとVとの同一性。ちょっと違うけど、でもふとダロウェイ婦人を思い出した。
- 種田山頭火『山頭火句集』(ちくま文庫)
- 「さてどちらに行こう風が吹く」、俳句観が変わった。変わらざるをえない。折に触れパラパラと眺めたい。挿し絵も本当に素晴らしい。