貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

大岡昇平『レイテ戦記1』
読むのに体力と気合が必要である。莫大な資料や証言を整理し、レイテでの戦闘で何が起こったのか、を明らかにしていく。大岡昇平の代表作にして戦記文学の最高峰。一番最初に、「死んだ兵士たちに」と書かれている。「死んでいった」でも「殺された」でもなく「死んだ兵士たちに」という渇いた表現には、背筋が伸びる気がした。
ゲオルク・トラークル『トラークル詩集』
こちらも戦争の被害者とも言うべき詩人。17歳で麻薬に手を出し、第一次世界大戦開始とともに薬剤士官補として従軍。戦争の光景に耐えきれず、自殺未遂の後に収容され、精神病棟で多量のコカインを服用して死亡した。危うい美しさに満ちている。良かった。しかし今現在なかなか入手が困難なようだ。全集(全1巻)をいつか買いたい。

レイテ戦記 (上巻) (中公文庫)