貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

アレクサンドル・ソクーロフエルミタージュ幻想
全編をワンカットで撮り切ってしまった問題作。ドキュメンタリーの様な長回しを予想していたらとんでもない。画質はとても良く、一体どのように撮っているのか不思議になってしまうくらいのクレーン撮影があったり、とにかく驚かされた。モンタージュが無い、と言うとシネマ・ベリテを連想するが、現実の上映時間と映画内で流れてる時間が同じ訳ではない。たしかにワンカットで撮り切っており、モンタージュは無しだが、扉を開けて別の部屋に移っていく、と言った形で場面が転換する。要するに、視覚的なモンタージュによって時空の変化の様な効果を出しており、それがあるからワンカットで撮られてはいてもやっぱり映画っぽさを感じるのだと思った。エルミタージュの回廊を妖精の様な女の子数人が走るシーンはとんでもなく美しい。