貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

鴨居羊子『鴨居羊子コレクション3 カモイ・ヴァラエティ』(国書刊行会
自費出版限定500部しか出されなかった「ミス・ペテン」を収録。これには細江英公が鴨居羊子の作った人形を撮影した写真集付き。文才あるなーと思っていたらそれもそのはず、元新聞記者なの忘れてた。鴨居羊子の事を書く時はいつも書いてしまうけれども、弟は画家の鴨居玲。広くしられているタイプの画家ではないが、日本人離れしたその絵は熱烈なファンも多いと聞く。手に入れた人が手放さないのでなかなか作品が出回らないそうだ。

せめて夜の時計がもう一時間、時間が長けりゃ、こんなに後めたい気持で帰らなくてもいいのに。人生が短いのは時計屋のせいです。

 

 

「ミス・ペテン」より

古びて、くちゃくちゃになって、少し破れていたり、ヨダレがついたような人形を、無造作に、それでも自分の分身のように、決して離さないで持って歩いている子供と人形との関係を見るのは好きだ。人形が肉体化された感じがする。

 

 

「M嬢物語」より

この素朴さと瑞々しい感性で語られるいろいろな事がおもしろい。日本初の下着デザイナーであり、絵を描き、フラメンコを踊り、料理をして、犬を愛し、猫を拾ってくる、まさに、カモイ・ヴァラエティ。

カモイ・ヴァラエティ (鴨居羊子コレクション)