貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

小沼丹小沼丹全集1』(未知谷
『村のエトランジエ』『白孔雀のいるホテル』『黒いハンカチ』『不思議なソオダ水』の4冊の短編集に未刊行作品を加えた内容。さすがに読むのに時間がかかった。「村のエトランジエ」「白孔雀のいるホテル」「気鬱な旅行」「不思議なソオダ水」が特に面白かった。『黒いハンカチ』は全編可もなく不可もなくといった娯楽推理短編集。こういうものも書いていた事に驚いた。全集ものを読んでいて面白いのはその作家の癖というか嗜好に気付ける事。小沼丹の場合はマンドリン(たまにギター)が小道具で出てくる事が多いし、人物を動物に例える事が多い。人を見たら何の動物に似ているかをまず考える男が小説内に登場するけれど本人もそうだったんだろうなぁ、と。お見合いを愉快に描く事も多い気がする。この全集は1冊12000円で全4巻なのだけど今や小沼丹を読もうと思ったらこの金額でも安い位だからしょうがない。『村のエトランジエ』は古本屋で初版、署名入りで63000円の値がついていたし・・・。まだ1巻しか持っていないのでコツコツ揃えたい。
『なおかつ、お厚いのがお好き?』(フジテレビ出版)
あくまでもきっかけに過ぎない本なんだろうけど、何事もきっかけというのは大切な訳で、この本がきっかけになって色々読んでみる人がでればとても良い事。けっこう再読したい本ができちゃった。

 

小沼丹全集〈第1巻〉 なおかつ、お厚いのがお好き?