貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

江戸川乱歩全集11 緑衣の鬼」(光文社文庫)
超久しぶりに乱歩。たまに読むと楽しい。肩肘張らずにぐいぐい読めてしまう。この巻は「緑衣の鬼」と「幽霊塔」の2編を収録。「緑衣の鬼」では緑色偏愛男というなんとも奇天烈な人が登場。幻燈のトリックも相変わらず大した事なくて微笑ましい。「幽霊塔」は海外の小説の翻訳物。ただ、翻訳と衣っても忠実に訳しているわけじゃなくて、大いに参考にしながら創作してます、といった趣き。好きなお話の筋を使ってさらに要所要所を膨らませていく感じは、なんだか伸び伸びしてて良いなぁ。こんな感覚の翻訳、ってのがもっとあっても良い気がするけど、権利関係が昨今は厳しくなってますからなぁ。無理なんかな。

 

江戸川乱歩全集 第11巻 緑衣の鬼 (光文社文庫)