貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

田中小実昌香具師の旅』(河出文庫
「私小説」のような「小説」。田中小実昌が語っているように見えて、そのお話はどこか作られたものな訳で、そういうトリックに気づくまではちょっとずつ違和感を感じる。何も考えずに読むとエッセイというか回想録のように見えるので、話ごとに整合性が取れてない所とか「??」となってしまう。さっきの話では違ったはずなのに・・・、みたいな感覚。小説っぽくならないように語る小説、というのがこの人の1つのキーワード。2冊めで、なんか楽しくなってきた。
田中小実昌『自動巻時計の一日』(河出文庫
朝起きてから、夜寝るまでを小説に書いてみた作品。小学校の作文で、まぁ、まず最初にやめろと言われる書き方だけれども、実際やってみるとそれなりに楽しい。田中小実昌は色んな職業を転々としてるのでネタが豊富でおもろい。

 

香具師の旅 (河出文庫) 自動巻時計の一日 (河出文庫)

田中小実昌『ポロポロ』(河出文庫
戦争のキツサを独自の視点で語る。戦争の悲惨さというよりもキツサ、シンドサ、といったニュアンス。自分の体験を語りながら、それが「物語」になってしまう事を拒否しながら慎重に語る。特に「ポロポロ」は語りの中に物語になる事を拒否する見振り、みたいなものが入ってるのが特徴。もっとも従軍の話は話題が話題だけにそこまで面白い、というものでは無かったけれども。

 

ポロポロ (河出文庫)

中島たい子『漢方小説』
第28回すばる文学賞受賞作。月刊すばる11月号に掲載。巧い。面白いし。30代の女のテーマとは何か、がテーマ。巧みな比喩が巧み過ぎて鼻につく事もあるけれど、とにかく読ませる。しかし文章と言うのはとても不思議で、東洋医学についてちょっと詳しく書かれた部分になるとやっぱり文体の質が変わると言うか、調べて書いたことが文章から感じ取れると言うか、質感が微妙に変わる。とりあえず人生初書評はこの作品にしようか、という感じ。

マリオ・バルガス・リョサ『フリアとシナリオライター』
筆者の自伝的な要素の強い小説。国書刊行会の「文学の冒険シリーズ」で第1期刊行予定に入っていたのだけど、遅れに遅れて今年刊行。主人公の視点とラジオドラマのシナリオとが交互に展開されていて、微妙に関係がある当たりが面白い。書くという事について書かれた小説、ではあるのだけど、小難しい事は抜きにして何よりもスラップスティック・コメディとして楽しめる。ASIN:4336035989

ホテリアー
日テレで放送中なのだが1話当たり10分ぐらいカットされているので、ヤフオクでDVDを落札(すぐに転売予定)。親と一緒に徹夜で見てしまう。2日連続徹夜。眠い。ホテルマンとホテルのM&Aの専門家との間で繰り広げられるドラマ。もちろん色んな事が起こる訳で・・・。親が見てるのを横目で見ながらなんだかんだ韓国ドラマ通になりつつあるのが我ながら笑える。韓国ドラマって放送当日に撮影が終わって編集室に駆け込む事とか多いらしく、特に最終回なんかは脚本が当日出来上がる事もしばしば、らしい。視聴者の意見を尊重して結末を変えるのだとか。誰とくっつくか、とか病気は治るのか死ぬのか、とか、結構重大な結末が当日までわからんという凄まじさ。でもさすがにそんな事してると荒っぽくなる訳で、最後2話くらいは思いっきり失速する。とくにこのドラマはラスト微妙過ぎ。まぁ韓国ドラマって結局中盤のごたごたを楽しんで最後はあっさり終わっちゃうって事かしら。そういえば、ソン・ヘギョは口でかいけど演技うまいかも。てか韓国の女優って口でかい。上戸彩は韓国行ったら超人気なんじゃないか、という位。

 

ホテリアー DVD-BOX