貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

柳田國男『木綿以前の事』(岩波文庫)

昔の人々はいかなる日常生活を営んできたか。衣服、食物、生活器具などのテーマを巡る19の考察。細部に至るまでの徹底的な調査、考察は凄いとは思うが、如何せん興味のない分野は面白いとは感じられないのが正直なところ。木綿のみ楽しかった。物凄く美しい一節もあった。と言うのが最初の感想だがこれを書きつつ再び本書を手に取り再読の欲求抑え難し。今*1読んだら絶対にもっと面白いと思う。パラパラめくると確かに語り口は落ち着いていて、美しい文章もちらほら。

伊勢でも大和・河内でも、瀬戸内海の沿岸でも、広々とした平地が棉田になり、棉の実の桃が吹く頃には、急に月夜が美しくなったような気がした。

「木綿以前の事」より

*1:2004/6/11