2003-02-20 ■ 読 尾崎翠『尾崎翠集成 上』(ちくま文庫) なんとも不思議な作品を残して消えた伝説の作家の作品が文庫二冊にまとめられて刊行。なんともありがたい。独特な文体が印象的。代表作、「第七官界彷徨」の冒頭だけ引用。 よほど遠い過去のこと、秋から冬にかけての短い期間を、私は、変な家族の一員としてすごした。 そしてそのあいだに私はひとつの恋をしたようである。 ジョルジュ・ディディ・ユベルマン『ヴィーナスを開く』(白水社) 友人が大学の教授にフランスで今刺激的な人を聞いたら詩人のイヴ・ボヌフォアと美術批評のディディ・ユベルマン、と言われた、という話を聞いてとりあえず買ってみた。確かに面白い。とりあえず、ボッティチェリ観が変わる。宗教画や神話画もまだまだ刺激的じゃないか。フラ・アンジェリコやジャコメッティに関する邦訳も出ているのでそちらも読んでみたいが、ジャコメッティの方は品切れ中。なかなか見つからない。ちなみに友人は今ボヌフォアで論文を書いている。