貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

夏目房之介マンガの深読み、大人読み』(イースト・プレス
マガジン全盛期を支えた「明日のジョー」と「巨人の星」を徹底分析&関係者のインタビューから当時の様子が窺えて非常に面白かった。当時のマガジン編集長や担当編集者のインタビューがあるのがなかなか良い。マガジン100万部突破は漫画の青年化、大学生までもがマガジンを読む様になった象徴。「右手に朝日ジャーナル、左手に少年マガジン」の時代であり、「一枚の絵は一万字に勝る」というスローガンに当時のマガジンの気合を感じるなぁ。知れば知るほど面白い時代と言うか、もの凄い時代。当時三島由紀夫は「明日のジョー」の連載を欠かさず読んでいて、本屋が閉まって今週号が買えなかったと言ってマガジン編集部に売ってくれないか、と直接訪ねてきたことがあったという。当時は表紙を横尾忠則がデザインしたりとかもしていて、ホント作り手も気合入ってたんだな、と感慨深い。その他にも最後の方に漫画の世界展開の話(版権とか)が載っていて、図らずもためになった。海外での版権の管理や契約を主導権をもってちゃんとやるようになったのは最近の話っぽい。それまでは良くわからないから現地の代理店に丸投げとかして、不利な契約結んでたりしたらしい。出版を取り巻く課題は山積み。でもそれって課題がないよりは楽しいかもしれない。

マンガの深読み、大人読み