貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

イタロ・カルヴィーノレ・コスミコミケ』(ハヤカワepi文庫)
カルヴィーノは今まで『見えない都市』『柔らかい月』『宿命の交わる城』と読んできたが、毎回作風の違いに驚いていた。が、今回読んでいてふと思う。作風はそんなに違っていないかもしれない。『柔らかい月』はこの『レ・コスミコミケ』の続編に当たる本で、両方とも各章の冒頭に掲げられる科学的な命題、あるいは説、みたいなものから空想を膨らませた物語を書くと言う趣向。この既にある事実のようなものから空想を膨らませて書くと言うのがカルヴィーノのコレまで読んだ作品に共通する特徴。『宿命の交わる城』ではタロットカードの並び方を基にして、そこから物語を紡ぎ出したし、『見えない都市』はマルコ・ポーロとフビライという歴史に基づいて空想している。ファクトベース幻想小説、とそれっぽく名付けてみたけどなんか今一ニュアンスが違うな。まぁでもとりあえず共通項が見えて来た。ISBN:4151200274