貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

『編集者の学校』(講談社)
カリスマ編集者やライターが編集者とは、ジャーナリズムとは、を語る。マスコミで働く人やマスコミを目指す学生の必読書、なんて煽っているけどそんな事はない。正直かなり分厚い割に役に立つ部分は少ない。30人以上執筆しているけど基本的に言ってる事は数パターンに類型化できる。まぁとにかく編集者に必要なのは好奇心とフットワークの軽さ。後は編集が好きなのか、モチーフが好きなだけなのか。後者じゃ使い物にならんよ、という話がマスコミを目指す学生には有益な話かもしれない。役に立つ、立たないを別にすれば編集者やライターの伝説めいたエピソードの類いは面白いけど、マスコミに行きたいとか思ってる子がこれを読むと妙に神格化するだけで気持ち悪い学生が出来上がるだけの気もする。とりあえず、仕事自体は面白そうだし、やりがいもありそうなのでモチベーションは上がったけれども。幻冬舎社長の見城徹の好きな言葉ってのが非常に印象的。「これほどの努力を、他人は運と言う。」
田口賢司『メロウ』(新潮社)
今年のドゥマゴ文学賞受賞作品。選考委員は浅田彰。あんまり意味は無いけど、勢いはある。言葉のドライブ感といかがわしいイメージの連鎖からくる独特の酩酊感。虹色の装丁はとてもこの作品に合っている。新しいし、サブカルっぽいって事になるのかな。独特の語感と文章のリズム、猥雑な想像力は普段読んでいる本とはまったく違う刺激を与えてくれた。他の作品も若干出ているようなので読んでみたい。

 

編集者の学校 メロウ