貼雑歩録 Ver.2.0

日々の情報から拡散する好奇心と、思考の断片をスクラップブックのように書き留める試み。

山口瞳『わたしの読書作法』(河出書房新社
エッセイは面白いが書評はそんなに面白くないかも。でも乱読な所や以下に引用したような感覚には共感。

どうやら、私は、小説において、ストーリーや時代の背景や、人物の設置や解釈を読むのではなくて、言葉や文章からはいってゆくという質であるらしい。

(中略)

乃木希典が内庭を通って寝所に行こうとする。そのときに、野木の長靴によって内庭の玉砂利が鳴るのである。

 その音が私にはっきりときこえた。玉砂利の音がきこえるというのが、私にとって小説なのである。という言い方も妙であるかもしれないが、そうでない小説は、私にとって小説ではない。

 

「解説ー新潮日本文学全集60・司馬遼太郎」より p.174-175

 

わたしの読書作法